スマート医療と介護の成果が注目の的に AIロボットが新たなケアパートナーに
- 千緩 島田
- 10月13日
- 読了時間: 3分
女媧機器人股份有限公司
台湾は正式に高齢社会へ突入し、医療や介護現場の人手不足をいかに解消するかが社会的な課題となっています。これに対し、経済部産業発展署が主催し、財団法人資訊工業策進会、台湾スマートオートメーション・ロボット協会、サービスロボット連盟が共催する「サービスロボット実証フィールド視察会」が、新竹の国立台湾大学附属病院生医病院ナーシングホームと板橋栄誉国民之家で相次いで開催され、多くの医療・介護機関やシステムインテグレーターが参加しました。
会場では、夜間の巡回からフロア間の物資搬送まで、複数のスマートケアソリューションが紹介され、AIロボットがケアの効率を大きく向上させるだけでなく、台湾のスマート医療・ロボット産業の実務統合能力を示す結果となりました。
NUWA Robotics による夜間見守り AI認識でケアリスクを低減
新竹国立台湾大学附属病院の現場では、NUWA Robotics(女媧創造)がAI技術とシステム統合を融合させた革新的ソリューションを披露しました。ロボットには360度のパノラマカメラとAI画像認識システムが搭載されており、自動で夜間の巡回を実施します。
入居者の起床や歩行を検知すると、ロボットが音声で呼びかけを行い、状況が続く場合は自動でビデオ通話を介して看護スタッフに通知。即時の対応により、夜間のケアリスクを大幅に低減します。さらに、ロボットはエレベーター制御や施設内搬送システムとも連携しており、フロア間の物資配送も可能。これにより看護スタッフの移動負担が軽減され、医療資源をより直接的なケアに集中させることができます。
コンパクト型自律ロボットに注目 狭小スペースでも高効率
板橋栄誉国民之家では、シグマインテグレーション社が幅30センチ未満の軽量型自律移動ロボットを展示しました。このロボットは、ベッド周辺の狭いスペースでも自在に移動し、さまざまな業務をこなすことができます。
非接触型の生体測定技術を搭載しており、入居者を起こすことなく、呼吸や心拍数をリアルタイムで計測可能です。1晩あたり約2時間で30〜40床分のモニタリングが完了し、夜勤の効率を大幅に向上させます。
また、おむつや食事などの大型物資の自動搬送にも対応しており、介護スタッフの搬送時の負担やけがのリスクを軽減するとともに、院内感染のリスク低下にも寄与します。
異分野の統合で、スマート介護の新時代を切り開く
台湾スマートオートメーション・ロボット協会は、「AIロボットは単なるケア補助ツールではなく、高齢化社会における重要な解決策のひとつである」と強調しています。今回の視察会の成果は、ロボット技術が概念段階を超え、実務レベルへと進化していることを象徴しています。今後も医療・介護・教育分野と連携し、スマートサービスの現場実装とその拡大を推進していく方針です。



コメント