台湾系起業家が率いる「Crave Robotics」、AI自販機で米国のホテル・大学に温かい食事の新たな選択肢を提供
- 宣子 中島
- 5月29日
- 読了時間: 3分
Spark Labs Taiwan
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台湾系の起業家、陳柏烟氏が2023年に創業したスタートアップ「Crave Robotics」がこのたび、200万米ドル規模の初期資金を調達したと発表しました。出資には、スタートアップ支援を行う台湾の「SparkLabs Taiwan」や、米国に拠点を置くグローバル投資ファンド「500 Global」のほか、物流サービスを提供する米国のサプライチェーン企業「Onus Global」、そして旅行業を営む日本の「三普旅遊集団」などが名を連ねています。調達した資金は、同社が展開するAI搭載の温食自動販売機「CraveBot™(以下、CraveBot)」の導入拡大に充てられる予定で、まずは米国のホテルや大学キャンパスを中心とした市場を狙っています。
3分で温かい料理を提供、進化する自動販売機
CraveBotは注文から約3分で温かい料理を提供する新しいタイプの自動販売機です。朝食から軽食、しっかりした食事まで計36種類のメニューを揃えており、すでにロサンゼルス市内の複数の施設で試験運用が始まっています。今後はホテルや大学キャンパスへの設置を本格的に拡大していく計画です。
すでに「Hilton」や「Marriott」といった大手ホテルチェーンと提携しており、カリフォルニア州内の大学、ならびに州が運営する公立大学システムとの連携も協議中です。24時間対応の無人運用により、利便性と効率を両立した新しい食の提供形態を目指しています。
データに基づく柔軟な商品戦略
「Crave Robotics」は利用者の反応データを活用し、柔軟にメニュー構成を調整する開発方針を採用しています。各CraveBotでは新メニューの市場適応度を短期間でテストし、その結果をもとに提供の継続を判断しています。こうしたデータ主導の迅速な改善体制によって無駄なコストを抑えつつ、地域のニーズに合った商品ラインアップが実現されています。
現在のメニューにはピザ、チャーハン、ハンバーガーなどの定番料理に加え、地元飲食ブランドと連携して開発したユニークなメニューも含まれています。
人手不足や営業時間の制約に対応、投資家からも高評価
CraveBotは飲食業界が抱える人手不足や営業時間の制限といった課題の解決策として注目されています。「SparkLabs Taiwan」共同創業者の邱彥錡氏は「CraveBotは温かい食事の提供方法そのものを再定義している」と述べました。
また、「三普旅遊集団」代表のMic Inoue Hsieh氏も、「出張や旅行で時間が限られるビジネスパーソンにとって、このような‘その場で温める’設備は非常に実用的です。今後は世界的に導入が進む可能性が高い」と成長性を評価しました。
食の新しいインフラへ――次の展開に向けて準備中
「Crave Robotics」は単なる機器開発にとどまらず、生活者の行動やニーズの変化に対応する新たな食のインフラ構築を目指しています。2025年末までに次の資金調達を予定しており、さらなる事業拡大の準備を進めています。
同社の動きは、テクノロジーと食の融合が日常生活にどのように浸透していくかを示す一例と言えるでしょう。

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