智宝国際、2025年に20作品以上を公開予定—新たなビジネスモデルとグローバル戦略
- 宣子 中島
- 5月13日
- 読了時間: 3分
NADA HOLDINGS
台湾の企業「智宝国際開発股份有限公司(以下、智宝国際)」は、アニメやマンガ、ゲームといった“二次元”コンテンツを手がけており、2025年7月以降世界市場向けに20作品以上を次々と公開する予定だと発表しました。これらの作品は、自社で数年かけて制作したものや他社とのコラボで開発したものが含まれ、同社はこれが収益や利益を大きく伸ばす原動力になると見込んでいます。また、2025年中に株式公開を予定しており、台湾初の「アニメ・マンガ・ゲームを主な事業とする企業」として証券取引所に上場する計画です。
IP(知的財産)の活用にも力を入れており、最近では台湾企業の「宇峻奧汀股份有限公司」と共同で、日本の有名なオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV(FFXIV)』の繁体字中国語版の共同代理権を取得。この取り組みを通じて、大規模なオンラインゲーム市場にも本格的に参入しています。
さらに、日本の「株式会社スクウェア・エニックス」と「株式会社サンライズ(現:株式会社バンダイナムコフィルムワークス)」が手がけたアーケードゲーム(ゲームセンターに設置されている業務用ゲーム機)『星と翼のパラドクス』についても、アニメや映画として展開する権利を獲得しました。2025年中には劇場版アニメ『AS ONE』を世界同時公開する予定で、映像化が進む中、自社のIP活用力がさらに証明されています。
2015年に設立された智宝国際は、これまでに100本以上のアニメやゲーム作品に関わってきました。代表作には『軒轅劍-蒼之曜』や『幻想三國誌-天元靈心記』、『金肉人』、『WITCH WATCH』、『卡娜赫拉(カナヘイ)』のスマートフォンゲーム、『閃之軌跡-北方戰役』などがあり、日本と台湾のファンに高く評価されています。現在の資本金は約2億6800万台湾ドル。智宝国際は、台湾で唯一、日本のアニメ制作体制「制作委員会」に正式メンバーとして参加できる企業であり、日本側の作品づくりにも深く関わることができる点が大きな強みです。
近年は、台湾と日本の両方に11社の関連会社を設立し、国際展開を積極的に進めています。
主なグループ会社には以下があります。
「回歸線娛樂」:アニメやゲームの権利取得、配信、ライセンスなどを担当。
「翔英融創」:アニメや映画への展開、国際共同制作の窓口。新たに子会社「劇集文創」も設立。
「NADA JAPAN」 と 「INARI」:日本の企業と連携し、共同制作などを進める日本拠点の子会社。
智宝国際の董事長である鄧橋氏は、今後も日本の制作チームと協力して作品をつくり、「Netflix」や「Bilibili」、「テレビ東京」などの国際的な配信サービスとの連携も強化すると述べています。また、台湾と日本の共同制作により、欧米市場への進出も目指しています。
これらの取り組みにより、より多くの人々に台湾発のオリジナル作品を届け、アニメやマンガ、ゲームを通じた文化の発信と、新たなビジネスモデルの構築を目指しています。

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