ナダホールディングス傘下「回帰線娯楽」、アニメ市場に本格参入 懐かしのIPが世代を超えて再ブームに
- 千緩 島田
- 9月18日
- 読了時間: 2分
NADA HOLDINGS
アニメ・ゲーム(ACG)IP企業である智寶(ナダホールディングス)は、傘下の「回帰線娯楽」を通じて、アニメIPの代理・配信戦略を積極的に展開しています。『薬屋のひとりごと』のポップアップストアが高雄・駁二芸術特区での初週末に1万人超の来場者を記録したのに続き、同社は現在、「回帰線回帰系」プロジェクトを進行しています。懐かしの名作アニメを新たな世代に再提案し、「懐かしのクラシック」と「新世代ヒット作」の2軸戦略で、世代を超えた視聴者層の拡大を図っています。
『ベルサイユのばら』が配信で大ヒット
プロジェクト第一弾として、テレビアニメ『ベルサイユのばら』が、4月26日に回帰線娯楽の公式YouTubeチャンネルで公開されて以降、再生回数がすでに100万回を突破。視聴者からは「青春時代を思い出す」といったコメントが寄せられ、IPの強力な求心力が発揮されました。同作は池田理代子氏による少女漫画で、世界累計発行部数は2,300万部を超え、フランスでの実写映画化や宝塚歌劇団による舞台化など、メディアミックス作品としても成功を収め、1970年代を代表する少女向けIPの一つです。
二本柱のIP戦略:新旧の攻略
ナダホールディングスは、若年層に向けて『WITCH WATCH ウィッチウォッチ』や『薬屋のひとりごと』などの新世代IPを展開する一方で、ミドル世代の共感と懐かしさをターゲットとした、『ふしぎ遊戯』『科学忍者隊ガッチャマン』といった名作アニメも導入し、ロングテール効果を生み出しています。リアルタイムの話題性と長期的なノスタルジー経済を融合させたこの戦略により、IPのライフサイクルを延ばしつつ、ライセンス収益の強化を狙います。
世界市場の成長が新たなチャンスに
Grand View Researchの報告によれば、2024年における世界のアニメ市場規模は342.56億米ドルに達し、2030年までに年平均成長率9.8%、602.72億米ドルへと拡大する見通しです。この成長は主にストリーミングプラットフォームの普及によるもので、ナダホールディングスは今後、ポップアップストア、グッズ開発、配信、異業種連携を通じて新たなビジネスチャンスを創出していく計画です。
製作委員会およびIPライセンス展開も強化
現在、ナダホールディングスグループは自社開発および代理を含む93件以上のIPを保有しており、台湾で唯一、日本のアニメ製作委員会において「幹事会社」の資格を有する企業です。企画、制作、ライセンスに至るまで深く関与し、バリューチェーン全体で収益を分かち合い、国際的なパートナーシップや業界内での発言力も大きく強化されています。



コメント